水桶収納庫

とうとう梅雨へと入りましたね。
仕事の工程を組むのにお天気とも要相談です。

こちらは茂原市にあります鷲山寺。
墓地の水桶収納庫新設工事。
桶は逆さに収納できるようにと依頼を受け、上段下段合せて20個の水桶を収納出来る様になっています。

 

 

 

現場へ足を運び思わずニンマリ。
私のつたないデザイン画と頭の中で描いたイメージを職人に伝えてはいたものの、思っていた以上の出来栄え。私の意図する所と感覚とを上手く汲取り良い仕事をしてくれてあった。
仕事を任す上でこの様な信頼感が非常に大切なもになってきます。
また今回、私がこだわったのは破風板。
直線的な墓石と合う様に破風板のラインをシャープに、またツバメが翼を広げた様な格好にしたつもりでいますがいかがでしょうか。
加えて当然ながら材には耐久性に優れた杉の赤身と檜を使用しています。
来週には屋根板金工事の手筈となっている。

 

 

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長生村の現場③

5月27日(日)

気持ちの良い陽気が続いています。
長生村の現場報告です。
2日間かけての地盤改良工事を終えた所です。

 

 

 

 

 

もっぱら近所のおばぁさん達の話では「ここにビルが建つのではないか!?」という噂が。。。
昔は家を解体後、直ぐに基礎工事が始まったものでしたが、何やら見慣れない機材が運ばれ穴をほっているのですから無理もありません。
今日はこれから腰を落ち着けて予算書作りに取り掛かります。

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旭市の現場②

解体工事を無事終え、地鎮祭の運びとなりました。
この日は一家三代が揃い工事の無事を祈念しました。

山を背にしたこの地では湧水の恵みがあり現在でも農業用水として利用しているそうです。
施主さんの屋敷のため池には鯉が放され、季節のスイレンが花を咲かせていました。

近くの『大原幽学記念館・遺跡史跡公園』へ住宅の設計者と2人 ちょっと寄り道です。
こちらの公園内にある「旧林家住宅」
天保15年(1844年)に建築され、築168年もの歴史を刻む住宅。
全体のプロポーション、軒や開口部の高さも絶妙です。
中でも私が目を見張ったのは畳の間の天井。
竿縁は面皮となっており松の巾広板を使っています。
長い時間をかけて風合いを増した黒い松の板。一方、白く残る板目の模様。
その様が正しく「天を舞う雲竜」
当時の棟梁が意図的に施したものか、はたまた時間が生み出した産物なのか憶測は計り知れませんが、
私としてはこの棟梁の美意識の高さを見せつけられている。。。 そう感じていたい。

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店舗改修工事①

以前ブログで紹介しました、アンティ―ク雑貨店・店舗改修工事へ入りました。
初日、2日目は建物内部の解体です。

築120年のこの建物。
店舗部分となる1階天井を取っ払い、梁を見せ場とした吹き抜けの大空間となる計画です。
屋根裏の小窓からの採光も店内の雰囲気づくりになるのではないでしょうか。

この味わいある建物の雰囲気をそのまま残しながら。。。というオーナーの熱い思い。
築120年という事から耐震補強を含め工事を進めて行かなければならない施工側の譲れない考えと。
特に改修工事においては始めてみないと見えてこない部分が多々あります。
現場にて話し合いを持ち、双方の考えを理解したう上で工事を進めていく事が大切だと思います。

 

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心構え

4月より新人が入った。
建築の専門学校へ2年間通いこの春卒業したばかりの20歳。
私にはやって来た時から少々気に入らない事があった。
茶髪に長髪。
世間一般的な若者のスタイルなのだろうが、この職場にはふさわしくない。
鋸ひとつ引くにも邪魔になるだろうに。
「そのうち自分から小ざっぱりしてくるだろう、初っ端からあまりうるさい事を言っても」と思い言葉をのんだ。

2週間程経った頃
「頭刈ってこい!」と言った。
「頭にデキモノが出来ているので。。。」と返事が返ってきた。

3週間ほど経った頃
「頭刈ってこい!」と言った。
「給料日が来たら行きます」と返事が返ってきた。

しかしながら、当に給料日は過ぎ、連休もあったにもかかわらず、とうとう頭はそのまま。

私は自宅からバリカンを持ち出した。
「五厘か?五分か?」と聞いた。
「五分でお願いします」と観念したか潔い返事が返ってきた。
さっぱりしたらキリっとしたイイ男になった。

身だしなみを整える=物を教わる側の『心構え』の一つではないだろうか。

若い頃世話になった棟梁が言っていた言葉。
「人に物を教わるのに他人の二度聞きはないんだぞ!上っ面で聞くな!」と。
私は今でものこの言葉が忘れられない。

 

 

 

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久しぶりの遠出

ゴールデンウィークに入る少し前あたりでしょうか。
「親方、水戸まで遊びに来ませんか?」と電話をもらった。
以前、 お世話になった設計事務所の現場担当者であった青年からでした。
彼は建築家を目指し、現在は日本でも名立たる設計事務所で腕を磨いている。
共に仕事をする中、素直な心を持ち日々努力している彼の姿にいい青年だなと思っていた。
この仕事がきっかけとなりその後も『建築家を目指す彼』と『田舎の大工である私』との新たな繋がりが始まって今回に至った訳です。
前回は彼が私の所まで遊びに来てくれたので今回は私が。。。という思いもあって、初めて訪れる地、茨城県水戸市へ。
この地へ来た目的の一つでもある小説家である彼の友人宅改修の相談事を済ませた後、水戸駅周辺を案内してくれた。
先ずは『茨城県近代美術館』へ。
有難い事に小説家の友人が私が来ると言うので前もってチケット
を用意してくれていた。館内では茨城を代表する画家『小川芋銭展』が開催されていました。

美術館を後にし、友人がオーナーをしているという店へと案内してくれた。
若手作家の作品を取り扱っている小物雑貨の店。温かい手作り感あふれる雑貨が並んでいる。
若手作家の作品発表の場でもあり、寂れてきた水戸を元気にしたい水戸へ足を運んでもらいたいという街興し的オーナーの思いの詰まった店でもあるそうだ。
それにしてもこの床は何で仕上げてあるのだろうか?と、ついつい店内の作りにも目がいってしまう始末。何か 盗めるものがあればと目を光らせます。

その後場所を移し、大手ゼネコン設計部で仕事をしているのだという友人が加わり4人で『アンコウのどぶ汁』とやらをつつきながら酒を酌み交わし楽しい時間を過ごした。
近い将来、彼が『建築家』として羽ばたく時を楽しみにしていたいと思う。

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地鎮祭

5月5日 こどもの日 立夏 大安
暦どおり
初夏のようなさわやかな陽気となったこの日
地鎮祭が執り行われました。

場所は夷隅郡大多喜町。
県内でも有数の木材や竹の産地であり、美味しいタケノコの産地としても有名です。
周囲は緑深くとても静かな良い場所です。
この地で豊かなスローライフを楽しむための家づくりが始まります。

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木材買付け

旭市の現場で使用する『差し鴨居』となる材の買付けです。
『差し鴨居』とは住宅の構造と住宅内部の造作とを兼ねた大きな役割を果たす重要な材です。一般的な鴨居は和室を仕上げていく段階での造作にすぎませんが『差し鴨居』は構造材でもある事から上棟時に組み込まれる訳です。
この材を見つけるまで実に一苦労しました。
今回私が探しているのは杉の3面役と言う材で3方向(面)からの造作も兼ねる事から材の質も4面のうち3面に大きな節が無いもの、その上樹齢60年以上の目が詰まった優良な材です。
比較的樹齢30〜40年は多いのですが、残念ながら木材の質の低下も否めません。
この辺りにおいて樹齢60年以上の優良な物となるとそうそう出会えるものではないという現状です。
原因の一つとしては戦後の山一つを丸裸にしてしまう伐採方法のツケが戦後60年のここにきて樹齢60年以上の木材が品薄状態を起こしているのではないのだろうか、と。
また木材の質の低下については柱を表に出さない面壁造りの住宅の普及が要因の一つとして挙げられるではないでしょうか。柱を壁の中へ納めてしまうという事はさほど質にこだわらなくても良いという事になり、職人が鉋がけをして柱をきれいに仕上げる必要もなくなります。これらに連鎖して長押、廻り縁、鴨居など職人として腕の見せ所となる造作が出来る職人が育たないという事にも関わってきますので、職人の質においても大きな危機でもあると感じています。
さて、数日前下見に伺ってから今回が2度目となります。
この日は旭市の住宅設計者も材の確認に同行し、県内でも木材の産地である鴨川市の老舗製材所へと向かいました。
鴨川市長狭地区・美味しいお米の産地でもあります。これらの材を一目見ればこちらの製材屋の仕事へのこだわりが伝わってきます。じっくりと時間をかけ自然乾燥をさせており、木材もきれいな色に仕上がっています。何でも自然が一番!という事です。

『差し鴨居』となる杉材は後日配達してくれるとの事。 この日持ち帰ったのはこちらの垂木。

ここまで私が材にこだわるのは材料選びは住宅の寿命に大きく関係する事だからです。自らの足で歩き目で確め納得した材を使いたいという思い、しいては私どもに仕事を任せてくれたお客様に喜んでもらうためでもあると考えるからです。
昔から大工の家づくりは材を十分に吟味する事から始まっているのです。

 

 

 

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旭市の現場①

解体初日に立ち会ってきました。
私どもの長生村からこちらの旭市までは約60㎞。
施主さん夫婦が気の毒そうに「遠いところをすいません」と言ってくれるが、
「鼻歌うたってればすぐ着いちゃいますよ」と私。
施主さん夫婦の笑い声。
このような施主さんとのやり取りも私の楽しみの一つとなっています。

さて、現場では解体を前に欅の床板と杉戸を外し、新築する家で何か活用できたらと考えました。欅の床板は赤身で良質なものです。こちらの家の歴史でもありますから再活用し引き継いでいく事が出来れば施主さんにとっても喜ばしい事ではないかと思います。
また、床板を外した部分には隠し細工が施されており当時の職人の技量を窺い見る事が出来ます。

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近況報告

桜の花が咲く頃、岸壁の母が旅立ちました。
本気とも冗談ともとれぬ話をとんちを利かして面白おかしく話すのが上手な人で人を笑わすのが上手かったと。周りの人達は口々にそう話していた。
どうやら仲間内ではムードメーカー的存在であったらしい。
私が大工の見習いとして働き始め2年目くらいだったでしょうか。一人前の大工となるまでに修得する技術の多さ、また果たして自分は棟梁としてやっていけるのだろうかという不安。今考えると早く一人前にならなけらばという焦りもあったのでしょう。
そんな時でした。
「男が一度足を入れた世界、途中で投げ出すとはみっともない。そんなんじゃ親父に笑われるよ。どんなに小さな家でもいいから 家1軒をまとめられる様になってから辞めても遅くはない。それでも辞めるのであればネオン街に行こうと何をしようとお前の自由だ。すきにしろ」と。
何ともお袋らしい叱咤激励でした。
家一軒をまとめ上げる棟梁としての醍醐味をお袋は私に教えたかったのでしょう。
それから32年。
今の私がこうしてあるのは間違いなくお袋のあの言葉が私の道しるべとなっていたのだと感じています。
そんなお袋の口癖は「あんとんねぇ」この辺りの方言で「大丈夫」という意味です。
どこかで「あんとんねぇ」と言いながら見守ってくれている。。。そんな風に思っています。

さて一方、現場も忙しく回っています。
今週は母屋解体工事が長生村と旭市の2現場で行われます。
長い休みを頂きましたので『こまめにブログ更新』といきたいものです。

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