こちらの境内には17年前に施工させて頂いた本堂・客殿があります。
偶然にも先日上棟したお寺同様、こちらのお寺の名にも『龍』の字が。
さて、現場報告です。
今回工事している観音堂上屋はこの本堂の前を通った先にあります。
先月から台風の影響を受け雨が降ったり止んだりの中、工事を進めてきました。
そうした中、9割方木工事完了。
昨日より屋根板金工事に入りました。
来週半ばのお会式でお披露目をするとの事でしたので、今週末の完成を目指しています。
建方、上棟式の運びとなりました。
天候は台風の影響を受け残念ではありましたが、お寺の名に『龍』と付くことから、
「おそらく龍が現われ雨を降らしたのではないだろうか」という和やかな話題となりました。
そう考えればこのお寺の名に相応しく、この上ない上棟日和となったのかもしれません。
【前日の建方】小雨が降る中、足場を気にしながらの作業となりました。
【上棟式】 雨風共に強く、ちょうどこの外房はるか沖合を台風が通過していた頃。 テントの中での上棟式となりました。式も半ば『棟打ちの儀』 「千歳棟(せんざいとう)、万歳棟(まんさいとう)、永永棟(えいえいとう)」との掛け声に 棟木をカケヤで打ち固める音が力強く響きました。 その後、一同手を合わせお題目を合唱。 無事上棟を迎える事が出来たとう安堵から僅かながら肩の力が抜けた様に感じています。 しかしながら、この先数か月間をかけての工事のうちの上棟が終わったにすぎません。 心を研ぎ澄まし、尚一層気を引き締めて取り掛かっていきます。
台風一過後、ずいぶんと秋らしい陽気になってきました。 作業所では本堂新築工事と手水舎新設工事の二手に分かれての作業となっています。 それぞれ本堂は来月初旬に上棟、手水舎は来月中旬に完成と気の抜けない張り詰めた空気が 漂っています。 ■本堂新築工事 【破風板原寸図作業中】 側面から見た屋根棟の山形の部分の図面。
【屋根原寸図作業中】 手前が屋根の棟、奥が向拝軒先となり、屋根の曲線美を描いていきます。 建物全体のプロポーションを考えながら、この建物に合う曲線を探っていく作業です。 これらの原寸図を描くことで、他の部分との取り合いが出来てきます。
いつもながら屋根の曲線美は大きな課題となりますが、今回は緩やかな曲線を描きました。 余談ですが。。。 『屋根』は『帽子』 帽子のかぶり方にも色々あります。 ツバを目深にクールにかぶったり、またツバを上向きに軽快な感じでかぶったりと見た目 の印象がずいぶんと変わってきますね。 また、帽子と着ている洋服とが合わなかったらどうでしょうか。 建物にも同じ事が言えるのです。屋根勾配や軒の出方で全く違った物が出来てしまいます。 それゆえ、屋根は建物全体のプロポーションを大きく左右する重要な部分でもあるのです。 ■手水舎新設工事 【作業所内加工風景】 これは手水舎の脚の部分。 屋根を支える四方の脚が中心に向かってそれぞれ傾斜している柱となります。 この様な柱を『四方転び』と言います。
■本堂新築工事 作業所の外では本堂新築工事に使う大きな材の墨付け加工作業が行われています。 隅木の墨付け。 隅木加工完了。隅木先端部分。 檜の持つ美しい木目、木肌に見惚れる。
来月の落慶法要を前に、昨日入仏式が執り行われ参列させて頂きました。
粛々と仏像や仏具が納められてゆきます。
御堂内は早くも仏具の漆の香りが漂っていました。
こうして仏像や仏具が整然と納まっていますが、工事中並々ならぬ苦悩がありました。
住職自ら段ボールを切り抜き、それらをお曼陀羅や仏像に見立て、それぞれの配置を幾度とシュミレーションし、頭を悩ませている姿があったのです。
さて、仕事を頂いてから今日までを振り返ってみますと、まだまだ至らない所も多々ありますが、僅か10坪の空間をどのように仕上げるか、私の試みを試す機会ともなり次へ繋がる自信をも頂いたような気がします。
昨日も暑い一日でした。
山深い高台の地。
蝉の大合唱と鶯の囀り。
山の斜面地にある木々の枝が大きく揺れ、目を凝らして見ると子ザルです。
精一杯背伸びをして木の枝を手繰り寄せ、木の実を懸命に口へと運んでいる姿があったり、 雄鹿の抜け落ちた立派な角を拾ったり。
ちょっと油断すると山ビルがズボンの裾を這っていたりと、非日常的出来事に多く遭遇します。
上棟後、初めての現場報告です。
木工事の現況は内部工事に取り掛かっている所です。
内部の仕上げは ラワンベニヤ、AEP、珪藻土、杉板と、統一感を持たせずにあえて空間によって仕上げ材を変化させていく設計者の計画です。
さて、建物裏手から突き出た鉄。
雨樋としての役割をします。
立面図を手渡された時、私の頭に浮かんだのは遥か遠くメキシコ。
設計者の意図するイメージはやはりこれでしょう。
早々に梅雨が明け、 外仕事には厳しすぎる長い夏となりそうです。
一 昨日、 無事お引渡しの運びとなりました。
本堂新築工事、最終報告です。
田んぼの緑、草木の緑、そして黄金色した杉板張りの寺。
上棟から3か月、通りから眺めるこの景色に時を刻みながら馴染んできたのではないでしょうか。
簡単にご紹介します。
外部は総杉板張り、内部は漆喰仕上げ。
また内陣は檜板張り、外陣は土間仕上げとなっています。
工事も終盤、私の頭を悩ませたのはこの三光天子の台座。
台座の小口をなるべくスッキリとしたシンプルなものに仕上げたい。
悩んだ末、ご覧の通りの仕上げとなった訳なのですが、
これがまた幻想的な世界を見せてくれるのです。
漆喰壁に映しだされた重なり合う陰影に住職と2人息をのんだ程。
内陣床は檜板張り、框には内陣と外陣との境という意味合いで、
材の違う地元山武杉の赤を使用。
先月、私どもで施工した住宅を見せて欲しいとの電話を頂きました。
和風住宅をお考えの様で『綱田の家』を案内させて頂きました。
「果たしてどのような経緯で私どもを訪ねてくれたのだろうか?」とお聞きした所、
一緒に尋ねて来て下さった不動産屋の方から『木組』を教えてもらったとの事でした。
家主が海外へ移住すると言う事で、以前私どもで施工した住宅が不動産屋の方の目に触れる機会となったようです。
残念な事ですが、私も住宅を手放すという話は耳にはしていたものの、ここからこの様な出会いといいますか、ご縁があるとは考えてもみなかった事で正直たいへん驚きました。
その家を建てたのは14年前。
私が小さい頃から世話になった人の家で、棟梁の好きなようにと任せてくれた。
勿論手刻み伝統工法、全て檜4.5寸柱。
天井は秋田杉面取り竿縁天井、すべて無垢の材でこしらえた家。
10年以上経った今でも檜の香りが漂っているのだそうだ。
自らの家づくりの信念を曲げずに、コツコツと地道にやってきたからこそ次へ繋がり今がある。
そう思える出来事でした。