木材買付け

旭市の現場で使用する『差し鴨居』となる材の買付けです。
『差し鴨居』とは住宅の構造と住宅内部の造作とを兼ねた大きな役割を果たす重要な材です。一般的な鴨居は和室を仕上げていく段階での造作にすぎませんが『差し鴨居』は構造材でもある事から上棟時に組み込まれる訳です。
この材を見つけるまで実に一苦労しました。
今回私が探しているのは杉の3面役と言う材で3方向(面)からの造作も兼ねる事から材の質も4面のうち3面に大きな節が無いもの、その上樹齢60年以上の目が詰まった優良な材です。
比較的樹齢30〜40年は多いのですが、残念ながら木材の質の低下も否めません。
この辺りにおいて樹齢60年以上の優良な物となるとそうそう出会えるものではないという現状です。
原因の一つとしては戦後の山一つを丸裸にしてしまう伐採方法のツケが戦後60年のここにきて樹齢60年以上の木材が品薄状態を起こしているのではないのだろうか、と。
また木材の質の低下については柱を表に出さない面壁造りの住宅の普及が要因の一つとして挙げられるではないでしょうか。柱を壁の中へ納めてしまうという事はさほど質にこだわらなくても良いという事になり、職人が鉋がけをして柱をきれいに仕上げる必要もなくなります。これらに連鎖して長押、廻り縁、鴨居など職人として腕の見せ所となる造作が出来る職人が育たないという事にも関わってきますので、職人の質においても大きな危機でもあると感じています。
さて、数日前下見に伺ってから今回が2度目となります。
この日は旭市の住宅設計者も材の確認に同行し、県内でも木材の産地である鴨川市の老舗製材所へと向かいました。
鴨川市長狭地区・美味しいお米の産地でもあります。これらの材を一目見ればこちらの製材屋の仕事へのこだわりが伝わってきます。じっくりと時間をかけ自然乾燥をさせており、木材もきれいな色に仕上がっています。何でも自然が一番!という事です。

『差し鴨居』となる杉材は後日配達してくれるとの事。 この日持ち帰ったのはこちらの垂木。

ここまで私が材にこだわるのは材料選びは住宅の寿命に大きく関係する事だからです。自らの足で歩き目で確め納得した材を使いたいという思い、しいては私どもに仕事を任せてくれたお客様に喜んでもらうためでもあると考えるからです。
昔から大工の家づくりは材を十分に吟味する事から始まっているのです。

 

 

 

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